[評]盛り上げるシーンの見せ方や、感情表現など、抜群のセンスを感じさせる作品です。なつこは、先輩からのどかと上手くいっていないことを相談されてしまいます。悩んだ末に、夏目の後押しもあって、なつこはのどかと先輩が仲直りするように導きます。そしてそのとき、なつこは先輩に気持ちを伝えます。なつこも分かっていた通り、当然のように、フラれます。フラれた後、「のどかっていい名前だよね」「…あたしものどかって名前がよかったなあ…」という夏目へのセリフは、なつこのせつない気持ちを痛いほどに伝えることができています。また、コマ割りも工夫され、印象深いシーンにすることができています。このように、持田さんは、自分の言葉で気持ちを表現することができています。使い古された表現ではない、自分なりのセリフやモノローグは、読者の胸にひびく印象的なものにすることができます。話全体を見ると、展開がもたついたり、無駄なモノローグがあったりと未熟な点もあります。とはいえ、読者の心に残る言葉や場面が作られていることが評価されての佳作となりました。絵ももちろんデビュー水準に達してます。きれいでていねいな描線です。これからもますます上手くなりそうです。 課題は、人物の描き分けがイマイチなことです。描線が弱々しいのも気になります。また、コマ割りか少し単調なようです。雑誌にたくさんの作品と一緒に載っても目立つことができるよう、絵を印象的に見せるコマ割りを工夫しよう。 |